
生きものこぼれ話 令和7年度「田植え体験・生きもの観察会」を開催しました!
投稿日:2025年06月05日(木)
今回は雨天決行!?
昔ながらの田植え体験と周辺の生きもの観察会を「カントリーパーク新浜」で行いました。泥に親しみ、生きものを見て、さわって、嗅いで……全身を使って感じてきました。
……雨です。
……にもかかわらず、会場の「カントリーパーク新浜」には、雨ガッパをまとった参加者のみなさんが集まってくださいました。
会場のある新浜地区は、仙台市東部沿岸地域に位置し、開墾から400年あまり、自然と調和する暮らしを紡いできた集落でした。「カントリーパーク新浜」は、東日本大震災前の豊かな自然を取り戻すため、化学肥料や農薬に頼らない「自然農法」にこだわって活動を展開しています。
ここは田んぼ・水辺・砂地の3種のビオトープ(生きものの暮らす場所)で構成されており、この日は田んぼのビオトープとその周辺で活動しました。
風情ある雨の田んぼ
最初に「カントリーパーク新浜」の遠藤源一郎さんから開会のご挨拶をいただいたあと、代表の澤口義男さんから田植えについての説明を受け、全員が田んぼ前に集合します。
遠藤源一郎氏(左)、澤口義男氏(右)
田んぼに、苗を植えるときの目印をつける「枠引き」作業を見学したあと、田んぼの先生・瀬戸勲さん(新浜町内会顧問)から苗の持ち方・植え方を教わりました。
田植えは苗の持ち方が大事!(瀬戸勲氏)
植えるのは、ミヤコガネというもち米の品種です。お手本の瀬戸さんにならって、いざ、田んぼへ!
田んぼには裸足で入ります。「雨×泥んこ」で、みなさん最初の一歩はちょっと勇気が要ったかもしれません。しかし、数回植えて泥まみれになると、何かが吹っ切れたかのように、進みだす参加者さんも。
田んぼの感触、どうだった?
果敢に植え進めるツインズ
ちなみに、「カントリーパーク新浜」で田んぼもビオトープとして扱っているのは、除草剤や化学肥料を使わず、さまざまな生きものの力を借りた昔ながらの農法を通して環境を整え、生きものとの共存を目指している場所だからです。
用水路のメダカを狙うサギ現る!
悪天候にも負けず、講師陣からは「今年の参加者さんは植えるのが速い!」とおほめをいただくほど、みなさん頑張りました。田植えのあとは泥を洗い流して、周辺の生きものたちに会いに行きましょう。
豊作祈念!
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観察の部は、水辺の生きもの編と植物編という2つのテーマで進めます。水辺の生きもの編については棟方有宗教授(宮城教育大学)、植物編については平吹喜彦教授(東北学院大学)にガイドしていただきました。
水辺の生きもの観察では、はじめに棟方教授から3つのビオトープについてのお話などをうかがい、隣の用水路へ移動して生きものを探しました。この用水路は、井土メダカ(ミナミメダカ)という、地域固有の遺伝子をもつメダカがいることでも知られています(文末の《井土メダカについて》をご参照ください)。
お待ちかねの「ガサガサ」タイム
カワエビいたよ
カエルいたよ
この日は、メダカやドジョウ、カワエビ、オタマジャクシ、アメリカザリガニなどに出会えました。
棟方教授と水辺の生きものの振り返り
植物編では、田んぼの東側、海岸線に沿って連なる高木林を中心に観察してきました。
平吹教授から新浜地区の植生などのお話をうかがったら、植物観察に出発です。
よい香りのハマナスの花や、酷い臭いのオニグルミの葉をかいでみたり、樹木の枝葉のつき方を見たり、いろいろな感覚を使って観察します。
平吹喜彦教授のお話
ハマナスいいかおり
ハウス脇に自生するセンダイハギ
林の中に入ってみた
アカマツ・クロマツを中心としたこの高木林は、震災でいったん失われかけるも自立的再生を果たしたそうです。かつては海風から集落を守り、建材や燃料、キノコ等の食糧も与えてくれるなど、新浜集落の人びとの暮らしを支えた豊かな生態系だったことも学びました。
⁂ ⁂ ⁂
今回、雨の中での開催となりましたが、むしろ生き生きとしていたカエル類の姿、ハマナスのように濡れても芳香を放つ花があることなど、雨天ならではの発見もありました。
驚いたのは、田植えタイムの間じゅう、東側の高木林では雨音に負けじとカッコウが鳴いていたことです。仙台でも干潟等のヨシ原で繁殖することは知られていますが、最近はめっきり声をきく機会が減っていたので嬉しい響きでした。
秋には稲刈りイベントも予定しています。どうぞ、お楽しみに!

カッコウの林
⁂ ⁂ ⁂
《井土メダカについて》
井土メダカは本来、仙台沿岸部の井土地区を中心に生息していたミナミメダカの個体群でしたが、東日本大震災で被災・流失し、一時は絶滅が危惧されました。その後、調査保全のため同地区の野生メダカを採集していた宮城教育大学と、仙台市八木山動物公園、市民とが連携し、本来の生息域での復活をめざす「メダカの里親プロジェクト」を展開しました(現在は終了)。そのプロジェクトの一環として、カントリーパーク新浜でもメダカのいるビオトープづくりが行われ、用水路などでミナミメダカを観察できるようになりました。
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⇒カッコウ、スズムシ、カジカガエルなど、市内各所で採録された音風景をお楽しみください。スマートフォンの着信音やアラーム音などの私的利用にご使用いただけます。
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