たまきさんサロンスタッフです。
12月2日(土)に仙台管区気象台気象防災部地域防災推進課の地球温暖化情報官 中川 憲一氏を講師にお迎えして、「第11回 気象サイエンスカフェ東北 「地球温暖化のいま〜もっと知ってほしい温暖化の問題〜」と題したサロン講座を開催しました。

世界気象機関(WMO)の最新の発表によると、2023年の世界平均気温は、人類史上最も高い1年になるという見通しだそうです。
地球温暖化をもたらす原因としては、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスの増加が大きく、それらの主な発生源としては、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の燃焼や家畜の排せつ物などが挙げられます。
温室効果ガスの大気中および海水中の濃度も、近年は観測史上最高を更新し続けている状況です。

温室効果ガスの性質を知るために、簡単な実験をしてみました。

�@空のペットボトルを2本用意します。
�A1本には二酸化炭素を充填します。
�Bフタをして、この2本をハロゲンヒーターで温めます。
�C30分ほど経ってからヒーターから離して、しばらく温度の変化を差し込んだデジタル温度計で観察します。

熱源から離すと、2本のペットボトルの温度は急速に下がっていきますが、次第に下がり方に差が出て来ます。
二酸化炭素をたくさん入れたペットボトルの方が、温度の下がり方がとても緩やかになるのです。

5分ほどで0.3℃〜0.5℃位の差が生じました!

実は、ペットボトルは地球の大気をあらわしていました。
1本は普通の空気、もう1本は二酸化炭素濃度の高い空気となっています。ハロゲンヒーターは、太陽のイメージです。
実験を通して、通常の空気よりも二酸化炭素濃度の高い空気の方が、温室効果が高いということがわかりました。


さて、ここでクイズです。
「今、世界の地表の平均気温は15℃くらいです。もし地球の大気中に温室効果ガスが無かった場合、平均気温はどのくらいになるでしょうか?」
答えは、今より34℃ほど低い、マイナス19℃くらいになってしまうということです。
つまり、温室効果ガスは、本来地球上に生息している生物にとって、過ごしやすい気温を保つためにとても大事なものでもあります。

次のクイズです。
「地球温暖化により、世界の平均気温はこれまでの100年で何℃くらいあがったでしょうか?」
答えは、約1℃です。世界の平均気温からするとわずかに思えてしまいますが、かつてない速さで上昇し続けていることが問題です。
このまま有効な温暖化対策を取らなかった場合、100年後にはさらに5℃近くも上がってしまう可能性があります。
地球を暖めているのは、ほとんどが太陽のエネルギーですが、その太陽によって暖められた地表の熱が、温室効果ガスによって宇宙に放出されにくくなり、地表の温度が急上昇しているのです。
18世紀後半の産業革命以降、世界は化石燃料を大量に消費してエネルギーとしてきました。そのため、排出された二酸化炭素の濃度が次第に高まり、急激な温室効果をもたらしたと考えられています。

最後に、地球温暖化によって引き起こされる問題を、グリーンランドにおける「氷床」の融解を例に参加者全員で考えてみました。
「氷床」の急速な融解が続くと、「深層循環(海水の温度と塩分濃度によって生じる海面上層から深層への海水の動き)」が弱くなり、その影響で大洋間を結ぶ巨大な潮の流れも弱くなると考えられています。これは、海流の変化や海水の温暖化、異常気象にも関係してくる大きな問題です。


急激な地球温暖化は、私たちの日常にも大きな影響を及ぼします。豪雨や猛暑などの気象現象の増加、海水面の上昇、生態系の変化、食料生産の減少、水資源の枯渇、熱中症や感染症などの健康被害の増加などです。
人間の活動によって排出され増加し続けている温室効果ガスと、それによって引き起こされる地球温暖化の問題について、詳しく教えていただきました。
講師の中川さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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